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Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~ 感想

近未来SF作品でありながらも畏まりすぎない、非常に温かい気持ちになれる良い作品に出会えたと思います。

Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~ 感想
Fluorite(あらすじはこちら

20190505 (1)

DMM 駿河屋 Amazon

原画:洋乃ヒロキ、スカイ、K子
シナリオ:雪丸仟
プレイ時間:18時間程度
ルートロックあり、攻略推奨順あり(晶⇔ひな>散桜花>遊離or姫風露)


□システムや動作環境
モーションシステムの搭載があったり、他のメーカーだったら絶対動かないだろうなあと感じるような電子の海の背景も思いの外軽く、動作自体に全く問題ありませんでした。UIも直感的であり、設定は非常にしやすく操作性は高いものになっていますので扱いやすかったですが、フロートにしていない状態で四隅が表示され続けていたのはこちらのPCの問題だったのか不明です。
各セーブに表示されるタグがややわかりにくく、使い道が見出せませんでした。


□作画・グラフィック・アニメーション
e-moteが搭載されていますが、あまり好きではないので目パチ口パクはOFFに。
一枚絵は綺麗な物が多く、自然の中に描かれているものは非常に魅力的でした。背景も同様に綺麗で満足です。
また、女の子たちも柔らかそうな肌感で塗られており、特に下半身のむちむち感、柔らかさはとても良かったです。
遊離が三咲に対してPDAのカメラで撮影した映像を送っているときの構図なんかも面白いなと思いました。
目のハイライトが失われている立ち絵がたくさんあった点や、お転婆な遊離のジト目とかはポイントが高いです。


□総評
4月の新作エロゲまとめを見てくださった方はご存知だと思いますが、実はこの作品はプレイ予定は全くありませんでした。
しかし、そんな中で購入・プレイまでのきっかけとなったのはちょっとした一言でした。



あの晴れわたる空より高く』の人が"やり切った"とまで言った作品をやらないわけにはいきません。
似た名前の人がいるとか言わないで
これだけの動機で唐突に購入に至ったため、事前の情報はほとんど持っていませんでした、知っていたことは前作『ソーサレス*アライヴ!』の円陣を組むCGがネタにされつつも内容も結構面白かったという評判と、登場するマスコットキャラクターがチュアブルソフトの『私が好きなら「好き」って言って!』と名前も見た目も声優も同じという点でスタッフの繋がりもあるという点だけでした。
(スタッフロールで知ったのですが、まんごープリンさんのお名前もありました)

AIの発展し、自動運転もフェーズ5まで発達した世界が舞台になっており、生活にMRが取り入れられていたりとホットな話題が目白押しでとても興味深い設定でした。
かといってそこまで小難しい話にはなっておらず、TIPSで解説もしてくれるためわかりやすかったです。医療方面の話に関してはそういうものなのかな、程度の感じでさらっと流してしまいましたが。
一番難しかったのはチェスのお話です。主人公がチェスが好きであるためことあるごとにその話が出てくるし、歴史的な勝負の譜面などを挙げてくるため知識はなくとも楽しめますが、知っていれば尚楽しめたのになと少し歯がゆさが残りました。

20190505 (5)

ここまで手が込んでいるのに知識皆無だとどういう驚きの一手なのかわからないのが惜しいです。

オートマタや人工知能など難しい話ばかりではなく、どちらかと言えば本作の焦点になっていたのはAIのお話というよりも人間の成長でした。
キスが世界を加速させる。失われた幸福なエピローグを目指して。
これは愛をなくした少年が、もう一度誰かを愛せるようになるまでの物語。
(公式HPあらすじより一部引用)

姉を失い失意の底にあった主人公のもとに来たオートマタ姫風露と姉と瓜二つの風貌をしたエディテッドである遊離の立ち位置が非常に重要になっています。
特に機械であるが故に無償の愛を提供してくれる姫風露の寛容さには癒されました。バブみとは違いますが、非常に気持ちの良い空間を作ってくれていますし、一番近くにいる存在がこうなので、終始心地よくプレイができたのは大きいです。

どんな時も主人公のため、主人公の幸せのためなら例え自身が悲しい思いをしてもそれを圧してでも優先し、行動する点は上記で愛着が湧いているが故に時として残酷な選択をもたらしていたことが読み手に大きなインパクトを与えたと思います。
主人公もそんな姫風露と時間を重ね、また、遊離のコンプレックスや境遇に手を差し伸べながら成長をしていく中で誰を愛するか、自分は何を優先すべきかということを取捨選択していく様は勇敢さを感じるとともにもの悲しさを覚える部分も多分にありました。

20190505 (4)

姫風露以外を選んだ時に、残された彼女はどうなるのか、ということを考えると非常に寂しい気持ちになりました。姫風露によくも悪くも感情移入しすぎてしまったのだと思います。

幾度となくされた選択の中の最後の選択肢で向かえたトゥルーではない方の結末が一番好きです。
いつものことなんですが、この報われない中での当人たちだけの幸せというのがグサっと来ます。
私が普段から好きなタイプが同じ方はここをやった時に「ああ、そうだよね」と思って共感して貰える部分ではないかなと。しかし短いのが非常に残念でした。
逆にもう一方の選択肢はかなり感動的ではあるものの、できれば彼女にはもとのままであってもらうか、もしくは最後の少し前の山場で終わるような形の方が好みでした。
あとは散桜花エンドなんかもかなり好きです。最近では珍しいタイプのエンディングだったのではないでしょうか。

また、上でも記載した通り主人公や姫風露は非常に愚直なタイプであり、遊離は狡猾で自分の気持ちに何重ものカバーをかけている猜疑心の強いタイプと対照的なため、遊離の立ち位置も非常に重要です。
時に黒幕が如く立ち居振る舞いを見せたかと思えばそんな自分に辟易するシーンもあったりと、なまじ頭がいいからこそ素直になれずどこか擦れてしまった彼女の天邪鬼っぷりも愛すべきものだったと思います。

20190505 (2)

一見するとウザキャラではありますが、芯のある良いキャラクターでした。下ネタ満載で主人公を誘惑してきたりする小悪魔っぷりが私は結構好きです。

ウザキャラといえば好き好きよりもグレードアップしたウザさを備えたQPです。もはやCV藤咲ウサではなく、藤咲ウザなのではないかというくらいのハマりっぷり。
会話の掛け合いに非常にちょうどいいエッセンスとなっていて、詩的なモノローグに対しての良い緩衝材となってくれています。しかしちょっとだけウザいんですww

これらのキャラクターが織り成す空間が非常に心地よく、嫌なキャラクターはほとんどいないため最後まで気持ちよくプレイすることが出来ました。癒し空間が満載なのは強いです。姫風露に何度でも会いたくなります。

また、ライターさんもお名前を見る限りでは他の作品を書いていない方のようですが、本当にこれが処女作かと言うくらいには言葉選びが上手でした。
人によっては冗長と感じる方もいるかもしれませんが、私はそうは思わず、場面場面に適切な表現であったり、あえて詩的な表現を用いているんだろうと違和感なく読めました。
モノローグや地の文に対し、姫風露やひなのような柔らかい表現が対照的に目立っていたり、偽神やエリーゼの信仰論などとの繋がりが違和感がなかったりなど全体的にレベルの高いテキストだったと思います。

キャラゲーでもテキストや設定もいい感じであった完成度の高い作品だったと思います。
一方で終盤の敵との対峙とオチの付けたかが政治的な背景もあるせいかラスト手前の流れが弱かった点は否めなかったです。
『はれたか』にあったようなOPまでのワクワク感や掛け合いのテンポは感じませんでしたが、それでも掛け値なしに面白かったです。
遊離の感情幅が広いため、色々な演技のくすはらゆいを聞くことも出来ますし、姫風露の声がとても耳に優しく溶かされます。
感動できるシーンもありほんのり慟哭できるようなシーンもあり、日常会話も飽きない良い作品でした。


それではまた次の記事にて。


DMMで購入

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